除草剤 選び方・使い方

除草剤 タイプによる分類
除草剤は顆粒タイプ、液体タイプと2種類に分かれており、それぞれに特徴があります。
顆粒タイプ
■おすすめ対象:活発に成長する前の雑草
顆粒タイプの除草剤は、雨や水に溶けた除草剤が雑草の根に吸収され、除草効果を発揮します。ただし、雑草の高さが20センチほどの雑草に効果があり、20センチ以上の雑草には効果がでにくいのでご注意ください。
一度撒くと半年〜1年程度効果が持続し、雑草の予防効果も兼ねている為、非常に経済的です。
液体タイプ
■おすすめ対象:生えてしまった雑草
液体タイプの除草剤は、薬剤が直接かかった部分を枯らす除草効果があります。その為、高さがある雑草にも効果的で、非常に即効性があるのが特徴です。しかし、生えている草にのみ効果を発揮するので、雑草の予防効果はないのでご注意ください。
いつのまにか生えた大量の雑草を、なるべく早く枯らしたい方におすすめです。
処理型による分類
よく流通している除草剤のうち、すでに生えている雑草を枯らしたいなら「茎葉処理型」、これから生えてくる雑草を防ぎたいなら「土壌処理型」の2種類を使い分けましょう。
茎葉処理型
茎葉処理剤は散布された薬剤が茎や葉の表面から吸収され、雑草を枯らします。
代表的なのはグリホサート塩を主成分としたラウンドアップなどで、根や樹の木質化した幹からは吸収されず、 かかった植物だけ枯らすので、葉にかからないよう注意すれば果樹の下草除草にも使われるほど。
ただし、葉にかかった植物はすべて枯れてしまうので芝生に混じって生える雑草には使えません。芝生には芝用除草剤と書かれているものを使いましょう。
茎葉処理型 一例
製品名 タイプ 特徴
サンフーロン 根まで枯らすタイプ 低価格。根まで枯らせる。土壌に落ちたら速やかに分解され安全。難防除のイネ科雑草も適切な濃度でしっかり枯らします。
ラウンドアップ 根まで枯らすタイプ 高価だが散布後の降雨までの時間が短くても効く。根まで枯らせる。難防除のイネ科雑草も適切な濃度でしっかり枯らします。
バスタ 根は残すタイプ 高価だが作物の登録が多い。地上部のみを枯らし根は残す。
土壌処理型
土壌処理剤は土の表面に残り、発芽した種子が育たないようにすることで雑草が生えてくるのを防ぎます。
農業分野では水田(水稲用除草剤)で非常に良く使われています。水稲用除草剤は田植えした稲の苗を枯らさずに後から生えてくる雑草を抑えるように開発されているのです。
一般向けには簡単にまける粒状タイプのものがよく売られています。こちらは「非農耕地用」の「非選択性除草剤」で鉄道や道路のために開発されたもの。
つまり、野菜などの有用植物はもちろん、庭木などにも薬害があるのでまく場所に気を付けましょう。
土壌処理型 一例
製品名 タイプ 特徴
ハイバーX そのまま撒ける粒剤タイプ 非選択性で全てを枯らす。非農耕地用。
カルコーン そのまま撒ける粒剤タイプ 樹木の周囲でも使用できる。
フレノック そのまま撒ける粒剤タイプ ササ、ススキ、チガヤ等の防除し難い雑草にも効果的。
茎葉処理型・土壌処理型 除草剤 比較
種類 茎葉処理剤 土壌処理剤
使用時期 雑草の成長期 雑草の発生前
主な使い方 雑草に散布 地面に散布
効果期間 1〜2ヶ月 〜6ヶ月
備考 種に効果がないので新たに芽は出る 草丈が大きくなると効きにくくなる
既に雑草が生えているときは茎葉処理剤を使いましょう。草陰に隠れていた種が芽吹いたらもう一度散布することで雑草が生えてこなくなります。
もし付近に有用植物を育てている場所がない・自分で植えるつもりもない場所には土壌処理剤を使って省力化することもできます。
除草剤 農薬登録による分類
農薬登録があるか無いかで大きく分類できます。農薬登録のある除草剤は急性毒性試験や長期暴露、魚毒性などの様々な検査をパスしており、 公的に安全性のリスクを評価できます。
農薬登録がある
検査によって安全が確認された作物の農耕地で、既定の量まで使用することが可能。
農薬登録がない
登録申請・検査などを行っていない薬剤。農耕地での使用が不可、公園、空き地、鉄道など付近に有用作物の圃場がない場合に限る。
使用場所による分類
農薬登録の”ある”ものの中でも、農耕地での使用が可能かどうかによっての大別できます。
農耕地での使用可能
農薬登録のある除草剤で、農耕地使用可能(作物に登録がある)なもの。
●除草剤サンフーロンの例:「かんきつ」への使用は「収穫7日前まで(雑草生育期:草丈30儖焚)」、「3回以内」など詳細に規定されています。(2016年5月現在。登録内容は改定によって随時変更される場合有)
農耕地での使用不可
農薬登録のある除草剤で、農耕地使用不可なもの。又は農薬登録のない除草剤。これらを農耕地に使用することは農薬取締法により規制されています。
●例:作物名「樹木など」と記載されています。
※樹木に対しての使用ではなく、樹木の生えている公園・道路などに使用します。
上記の農薬登録がある、使用場所による分類で農耕地での使用が可能という2点に関わることとして、厳密には家庭の庭で栽培している植物や植木、庭木がある場所には農薬登録のある除草剤を使用しなければなりません。
農耕地用(農耕地での使用可)・非農耕地用(農耕地での使用不可)
除草剤は農薬ですから、農薬取締法に基づき国に農薬登録をされています。
農薬の登録の為には薬効の他、作物への薬害・残留性、動植物への毒性・影響などを調べる試験を受け、問題ないと判断される必要があります。
そして農作物に使えるのが「農耕地用」で、樹木などに限定されているのが「非農耕地用」となります。
農作物の試験をするには莫大な費用や時間がかかるため、特許の切れた農薬有効成分を使って農作物には試験を行わず「非農耕地用」で安価で販売している製品もありますが、 製法や添加物が異なるので同じ系統の成分でも「非農耕地用」は農地に使ってはいけません。
「非農耕地用」は駐車場など周囲に家庭菜園などがない場所にのみ使えます。
水田の近くで「非農耕地用」除草剤を使って稲が枯れてしまったなどのニュースを目にしたことがあるかもしれません。
粒剤タイプ(土にしみ込んで長く効くタイプ)の除草剤を使う時は周囲の環境をよく確認してください。
対象雑草の生育ステージによる分類
  • ・発芽前処理法…雑草が発生する前に土壌に処理する方法。
  • ・茎葉処理法…雑草が発芽した後、成長してからの時期に処理する方法。
作用性による分類
非選択的除草剤 雑草と作物の区別なく殺滅する
例えば、ラウンドアップは植物だけが持っているシキミ酸合成経路を阻害(EPSPS阻害)することで植物を枯らします。ラウンドアップの成分であるグリホサートは浸透移行性のある薬剤なので薬液が葉にかかった植物は全て根から枯れてしまいます。このため枯らしたくない植物(庭の芝など)の傍には使えません。
・グリホサート系(ラウンドアップ・サンフーロン・エイトアップ)など多数
選択的除草剤 特定の植物には無害で、目的の雑草だけを殺滅する
これは日本全国の水田で使われている水稲用除草剤や芝生用の除草剤が該当します。例えばイネ科の植物には効果の薄い合成ホルモンを使ってホルモンバランスを崩すことで芝以外の広葉雑草を枯らすことができます。
・フェノキシ系(MCPP)など
作用機構による分類
除草剤も殺菌剤や殺虫剤と同様に抵抗性を考慮しなければならず、毎年大量に除草剤を使用する農業の現場(特に水田)では効果が薄れ効かなくなってしまう場合があります。
それを防ぐためにも異なる作用性の除草剤を使用することが求められています。
前述の「フェノキシ系」は植物ホルモンを模した化学的構造に基づいた分類であり、この分類法はかつて同じ構造なら同じような効果と考えられていたため多用されましたが、研究が進んだ現在では、抵抗性の発達には実際に薬剤がどのような作用を持つのかが重要であることが明らかになるにつれ、作用機序による分類(HRAC)に移っています。
除草剤の作用の例
  • ・光合成阻害
  • ・光合成に関連する光色素(クロロフィル、カロチノイド)の生合成阻害
  • ・栄養代謝系(アミノ酸、脂肪酸、脂質、タンパクなど)の合成阻害
  • ・ホルモン作用のかく乱
  • ・細胞分裂、微小管の集合・形成などの阻害
  • ・セルロース合成阻害
  • ・細胞膜破壊
  • ・その他
中でも多くの除草剤で用いられている作用機構は、栄養代謝系阻害、光合成系阻害になります。
もっとも使われているラウンドアップ(グリホサート系除草剤)は植物にのみ存在するアミノ酸合成を阻害し、植物の代謝を阻害することで枯死させる仕組みとなっています。
除草剤の安全な使い方
非常に便利な除草剤ですが、生命力の強い雑草を枯らしてしまう成分が入っている為、使用の際には十分に注意が必要です。
  • 1.皮膚に直接除草剤がかかる事を防ぐため、手袋やマスクを必ずつけ、長袖の作業着を着用して下さい。
     雑草が生えた場所には蚊などの害虫がいる可能性もある為、虫除けスプレーを利用すると良いでしょう。
     万が一皮膚に付着した場合は、ただちに石鹸でよく洗い流してください。
  • 2.目に入らないように注意してください。
     万が一目に入った場合は、ただちに水でよく洗い、眼科医の手当を受けてください。
  • 3.機械を使用して液体除草剤を広範囲に散布する場合は、液体が目に入らないようゴーグルや農業用のマスクを着用してください。
以上のことに気を付けて、安全に除草剤を散布しましょう。